従来の国際送金は、送金手数料や処理時間などの面で課題を抱えています。こうした課題を解決するために注目を集めているのが、仮想通貨「XRP(リップル)」です。XRPは迅速かつ低コストでの国際送金を可能にします。
本記事では、初心者向けにXRPを利用した国際送金の方法、送金時に知っておかなければならないポイントについて解説します。
- XRPの概要
- XRPの送金方法
- XRP送金時のポイント
XRPの送金は速くて安くてとっても便利!
だけど、いくつか注意点もあるよ。
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XRPとは?~国際送金をより便利に、安く~
XRPはRipple社が提供するブロックチェーンネットワーク「Ripple」のネイティブトークンです。XRPは従来の銀行システムの補完機能としてだけではなく、代替手段として注目されています。
Rippleは2012年にChris Larsen氏とJed McCaleb氏によって設立されました。XRP LedgerというオープンソースのDLT※1を基盤として、XRPは高速で信頼性の高い国際決済を実現します。
※1 DLT(Distributed Ledger Technology:分散型台帳技術)
XRPの特長と仕組み
銘柄 | 送金速度 | 送金コスト |
XRP (リップル) | 数秒から数十秒秒 | 1円以下 |
BTC (ビットコイン) | 10分~ | 数百円~ |
ETH (イーサリアム) | 数分 | 数百円~ |
XRPの最大の特徴は高い送金速度と低コストです。一般的な銀行を通じた国際送金は数日を要するのに対し、XRPは数十秒程度で送金を完了します。さらに、取引手数料も1円以下と非常に安価であり、従来の金融システムに比べて大幅に安くなっています。
XRPの仕組みは、XRP Ledgerのコンセンサスプロトコル(PoC※2)とオンデマンド流動性(ODL※3)によって説明されます。PoCは取引の合意形成を迅速に行う技術です。数秒で取引を完了し、低コストでの運用を可能にします。ODLは異なる通貨間で送金する際にXRPを一時的に利用することで、通貨交換をスムーズにします。たとえば、日本円から米ドルへの送金では、XRPが仲介役となります。
※2 PoC(Proof of Consensus)
※3 ODL(On-Demand Liquidity)
従来の国際送金システムとの違い
特徴 | SWIFT | Ripple (XRP) |
送金速度 | 数日かかることが多い | 数秒で完了 |
手数料 | 高額(中継銀行の手数料も含まれる) | 低コスト |
仕組み | 中継銀行を通じた多層的な送金プロセス | オンチェーンで直接送金 |
通貨の交換 | 通常、送金先での通貨交換が必要 | XRPをブリッジ通貨として使用即時に通貨交換が可能 |
透明性 | 低い(送金過程が見えにくい) | 高い(すべての取引が公開) |
運用コスト | 高い(システム維持費用がかかる) | 低い(分散型で維持コストが少ない) |
セキュリティ | ハッキングリスクが存在 | 改ざんや不正のリスクが低い |
これまで、国際送金においてはSWIFT※が大きな役割を果たしてきました。SWIFTは国際銀行間の通信を標準化するネットワークです。送金の際に複数の中継銀行を通過する必要があるため、処理に数日を要し、手数料も高くなります。一方で、RippleはSWIFTのような複雑なプロセスを介さないため、直接的かつ効率的な取引が可能です。
※ SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication:国際銀行間通信協会)
銀行を使った国際送金は時間がかかって大変。
送金は営業日にしかできないしね。
XRPを使った国際送金の方法
XRPの送金は取引所を介するプロセスと、ユーザーが保有するウォレットから送金するプロセスがあります。特に取引所を用いた送金はタグ入力が必要になる場合があるため、操作を間違わないようにしましょう。
1. 送金量の準備
XRPに対応した取引所やウォレットにXRPを準備します。XRPは国内取引所で購入することができます。
国内取引所の場合は日本円とXRPをトレードできます。Trust Walletなどのホットウォレットを使用する場合はDEX機能などで保有する銘柄とXRPをトレードします。
2. XRPの送金
受取人のXRPアドレスを確認し、 送金金額、宛先タグを入力します。宛先タグは同一のXRPアドレスを使用している取引所や企業が、個々のユーザーを識別するために使用する数字です。
なお、2023年からトラベルルールの施行によって取引所からの送金時に送金先情報を入力するプロセスが追加されています。これはマネーロンダリングなどの犯罪に対する予防処置です。
3. 受取人側での処理
受取人は自身のXRPウォレットで送金されたXRPを確認します。宛先タグが間違っている場合は受取処理が進みません。国内取引所であれば、カスタマーサービスなどが対応してくれることもあるので問い合わせてみましょう。
XRP送金時の注意点~初心者が知っておくべきポイント~
XRPは国際送金にとても役立つ金融ソリューションです。しかし、初めて使うという方にはいくつか注意すべき点があります。特に仮想通貨自体に馴染みのない方は使用法だけでなく、銘柄の歴史的背景も知っておくことが大切です。
1. 送金先アドレスの再確認
仮想通貨の取引は不可逆的です。一度送金すると取り消しができません。送金前に必ずアドレスを再確認しましょう。
また、XRPを送金する際に入力する送金先アドレスは英数字の羅列です。覚えることは難しく、メモを取る際も間違う可能性があります。誤入力を防ぐ為にコピー&ペーストを活用してください。
初心者の方は、まず少額でテスト送金を行い、正しく送金できることを確認してから本送金を行うと安心です。
2. Destination Tagの正しい使用
XRPの送金には、Destination Tag(デスティネーションタグ)という追加情報が必要な場合があります。タグは特定のユーザー送金を識別するための番号(数字)です。
タグは受取人のウォレットが複数のユーザー資金を管理している場合に使用されます。取引所サービスを利用する場合には、Destination Tagの入力は必須です。タグを正しく入力しないと、送金が受取人に届かないことがありますので注意してください。
取引所を使った送金時にタグ入力フォームが出てくるよ。
数字の羅列だから、間違わないようにね!
3. リザーブへの理解
XRP Ledgerではアカウントを維持するために最低限のXRPを保有する必要があります。いわゆるリザーブ(Reserve:最小預託残高)です。リザーブはスパム対策の一環として設けられています。
リザーブを理解していないと、アカウントが無効になったりするリスクがあるので注意してください。また、リザーブの量は変更されることもあるので事前に公式情報を確認しましょう。
取引所を介する送金ではリザーブを気にする必要はありません。XRP Ledgerとやり取りするのが取引所であるからです。一方で自身のウォレット(LedgerやXUMMなど)で直接XRP Ledgerとやり取りする場合はリザーブを保持する必要があります。
書いてある通り、取引所を使う際はリザーブを気にしなくてOKだよ。
4. 変動リスク
XRPを含め、一般的に仮想通貨のボラティリティ(価格変動)は高いです。送金を行う際にXRPの価格が大きく変動すると、受取人が期待していた金額よりも少なくなる可能性があります。
仮想通貨市場は24時間取引が行われており、常に価格が変動しています。ボラティリティリスクを押さえて送金を行いたい場合は、市場状況を見極めて送金をすることが重要です。特に初心者は、大きな価格変動が起きやすいニュースやイベントの直後の送金は避けましょう。
5. 規制環境の変化への対応
日付 | 主要な出来事 |
2020年12月 | SECがRipple社、CEO/共同創業者を相手取り訴訟を提起XRPが未登録証券として販売されたと主張 |
2023年7月 | 裁判所が部分的にRipple社に有利な判決一般投資家向けのXRP販売は証券法違反ではないと判断 |
2023年10月 | SECがCEO/共同創業者に対する個人的な訴追を取り下げ |
2024年5月 | SECが最終的な救済措置(罰金など)に関する申立てを提出 |
2024年7月 | 裁判所がRipple社に1億2,500万ドルの罰金命令(SECが当初求めていた約20億ドルよりも大幅に減額 |
2024年8月 | 主要な訴訟は一旦の結論SECによる控訴の可能性(2025年以降か?) |
Ripple社は米国証券取引委員会(SEC)との間で係争が続いています。この係争はXRPが証券に該当するかをめぐるものです。SECとのやり取りは、XRPの市場価格に大きな影響が出る可能性があるため、利用者は最新の規制状況を常にチェックすることが大切です。
2024年8月時点で係争は一旦の収束を迎えたといわれていますが、SECの控訴の可能性もあるため、動向を見極める必要があります。
一応はSECとRipple社の係争は収まったんだけどね。
今後のSECがどう動くかは気になる。
XRP国際送金の展望
XRP開発を進めるRipple社は各国の金融機関との提携を進めています。ここではXRPの展望を解説します。
金融機関との提携拡大の可能性
Ripple社は2024年8月時点で、世界中の数百もの金融機関と提携関係を築いています。主要な提携先には、サンタンデール銀行(スペイン)、SBIホールディングス(日本)、アメリカン・エキスプレス(米国)などのグローバル金融機関が含まれます。また、新興国市場での提携も進んでおり、タイのSiam Commercial Bank、フィリピンのUnion BankはXRPを使用した国際決済システムの構築を目指しています。
2023年7月にSEC訴訟で部分的勝利を納めたことで、各国金融機関との提携拡大のペースは加速すると期待されています。
クロスボーダー決済の標準化
SWIFTは現在、国際送金の標準プロトコルとして広く使用されている一方で、XRPなどの新技術との統合を模索しています。2022年にSWIFTはRipple社と提携し、XRPを活用した送金実験を行いました。
また、各国の規制当局が仮想通貨やブロックチェーン技術に対する理解を深め、規制の枠組みを整備しつつあります。2023年にはG20がデジタル通貨の国際的な規制を議論しました。クロスボーダー決済を標準化するうえで、XRPは大きな役割を果たしていくでしょう。
参照:デジタル庁「G20 デジタル経済大臣会合インド・ベンガルール」
中央銀行デジタル通貨(CBDC)との連携
中央銀行デジタル通貨(CBDC)とXRPの関係は、連携と競合の両面があります。連携の事例として、パラオ共和国のステーブルコイン開発、ブータン王国のCBDC開発、モンテネグロ共和国のCBDC実証実験プロジェクトが挙げられます。
競合の事例として、中国のデジタル人民元、欧州中央銀行(ECB)のデジタルユーロが挙げられます。中国政府はCBDC開発を自国で完結させようとしています。ECBは2026年までにデジタルユーロの導入を目指しています。
Ripple社は2023年5月に「Ripple CBDC Platform」を立ち上げ、各国の中央銀行や金融機関がCBDCやステーブルコインを発行できるプラットフォームを提供しています。この戦略により、CBDCとの競合を避け、CBDC開発のインフラ提供者としての立場を確立しようとしています。
参照:Ministry of Finance Republic of Palau Stablecoin Program
参照:Bhutan Advances Financial Inclusion and Sustainability with Ripple’s CBDC Solution
XRP送金のよくある質問(FAQ)
XRP送金の際によくある疑問・質問に回答いたします。他にも気になる点がございましたら、クリプトレスキューセンターにお問合せください。迅速丁寧に回答させていただきます。
実際にXRP送金にかかる時間は?
公式サイトや解説サイトなどでは5秒程度というスペックが紹介されていることが多いです。実際に数秒から数十秒程度で着金が確認できます。しかし、取引所を使用する場合は、独自の確認プロセスによって着金が遅くなる可能性もあります。
送金手数料はいくらくらい?
オンチェーンの送金手数料は基本的に1円以下です。ネットワーク混雑時、マルチシグ利用でコストは増える可能性はありますが、1円を上回ることはほぼ無いでしょう。一方で、取引所が独自に送金手数料を課す場合もあるので事前に確認しておきましょう。
1円以下ってのは0.0・・1円とかすごく少ないコストなんだ。
実質無料みたいなもんだね。
XRPは法定通貨にどのように換金される?
国内取引所ではXRP/JPYのペアがあります。海外取引所ではJPYではなく、USDやEURなどの法定通貨とトレードが可能です。しかし、海外取引所で法定通貨に換金しても使い勝手はよくありません。基本的に日本の国内取引所で日本円に換金するのがよいでしょう。
大口送金の際の注意点は?
取引所では大口送金に制限をかけていることがあります。一日の出金限度額を事前に確認してください。ユーザーウォレットから送金する際の送金制限はありません。しかし、大金を送金する際はテスト送金などを実施し、ロスト(資金喪失)を予防しましょう。
まとめ
XRPは極めて低い手数料で速く国際送金を実現できます。また、国内取引所では基本的にXRPを取り扱っていることから、日本円への換金も容易です。SECとの係争も落ち着いたことで、これから益々XRPに対するニーズは高まっていくでしょう。
以上、XRPを使った国際送金の方法と知っておくべきポイントをまとめて解説させていただきました。XRPはとても便利な国際送金手段ですが、タグ入力を忘れてしまうと資金をロストしてしまう可能性があります。送金にご不安のある方はクリプトレスキューセンターにご連絡ください。皆様の個別ニーズに最適化されたソリューションを速やかにご提案させていただきます。
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