USDTとは?国際決済ツールとして注目される仮想通貨の概要と注意点

国際決済では中間金融ごとに手数料が加算され、送金時間も長くかかります。

こうした課題を解決するため、注目を集めているのが仮想通貨「USDT」です。USDTは米ドルと連動した市場価値を持ち、低コストでスピーディーな国際送金を可能にします。

本記事ではUSDTの概要や入手方法、使用方法、利用時の注意点を詳しく解説します。国際決済の新たな選択肢として、USDTへの理解を深めていきましょう。

この記事の内容
  1. USDTの概要
  2. USDTの使用方法
  3. USDTの注意点
レスキューふくろう

USDTは「ユーエスディーティー」、「テザー」と呼ばれたりするよ。
日本以外の取引所であれば、基本どこでもトレードできる。

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目次

USDTとは?

出典:https://tether.to/en/

USDTは、米ドルの市場価値と連動する仮想通貨です。開発と発効は米国のTether社が行っています。市場規模は2024年10月時点で約17兆円です。USDTはBTCやETHに次ぐメジャートークンとなります。

USDTは主に取引所間の資金移動や、預金手段、決済手段として広く利用されています。その安定性と流動性の高さから、次世代の金融システムにおいて重要な役割を果たす可能性があります。

レスキューふくろう

市場規模17兆円って…すごすぎる。

他のステーブルコインとの違い

銘柄発行元連動先担保方法
USDTTether社米ドル法定通貨担保
USDCCircle社米ドル法定通貨担保
DAIMakerDAO米ドル仮想通貨担保
EUROCCircle社ユーロ法定通貨担保
JPYCJPYC株式会社日本円法定通貨担保

USDTはいわゆる「ステーブルコイン※1」です。ステーブルコインはUSDTだけではありません。同じく米ドル連動のUSDCやDAI、ユーロに連動したEUROC、円連動のJPYCなど、様々な国の法定通貨にペッグされたものがあります。

担保方式には法定通貨担保型、仮想通貨担保型があります。法定通貨担保型は実際の法定通貨と同じ量を保管することで信用を担保します。仮想通貨担保型はETHなどのメジャートークンを担保に使用します。また、アルゴリズムによって価値を担保する方法もありますが、2022年5月にUSTがデペッグ(1ドルから乖離)したことで、信用低下を余儀なくされました。

※1 ステーブルコイン(Stable Coin)は価格変動が安定したコインを指します。

参照:金融庁「事務局説明資料」

参照:MakerDAO | An Unbiased Global Financial System

参照:Circle

参照:JPYC | エンをつなげる日本円ステーブルコイン

レスキューふくろう

USTはデペッグの象徴的な事件になった。

USDTは日本でも購入できる?

USDTは2024年9月時点で、日本の取引所で購入ができません。これは、日本の金融規制や資金決済法の観点から、ステーブルコインの取り扱いに課題があるからです。一方、DAIは暗号資産担保型で中央集権的な発行体がないため、日本での取り扱いが認められています。

世界的には、USDTは多くの取引所(CEX)で取引可能です。そのため、日本のユーザーが海外のWeb3プロジェクトに参加する際は、国内で購入した仮想通貨を海外の取引所に送金し、そこでUSDTに交換するという方法が一般的です。

参照:金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」

レスキューふくろう

USDTは日本国内でトレードできないんだよ。
世界No.3の銘柄なのにね。

USDTの一般的な入手方法

CEXトレード、DEXトレード、ウォレットスワップといったUSDTの入手方法プロセスをわかりやすく解説します。

CEXトレード

すでに解説した通り、国内のCEX※2でUSDTを直接トレードすることはできません。よって、一度海外のCEXへ送金してからUSDTを入手する流れになります。手順は以下の通りです。

1.国内取引所で任意の銘柄を購入

出典:GMOコイン

国内取引所で任意の銘柄を購入します。銘柄は、海外取引所で対応できるものであれば問題ありません。おすすめはXRPです。XRPは海外送金機能に特化した銘柄であり、送金を速やかに完了できるので市場のボラティリティリスクを回避できます。

上記図はGMOコインのXRP購入画面です。XRPはどこの取引所でも購入できるので、自身の使用している取引所で確認してみましょう。

2.海外取引所へ送金

出典:DMMビットコイン

海外取引所では基本的にUSDTをトレードできます。しかし、事前確認は大切です。お使いの海外取引所でUSDTが確実にトレードできるかを公式サイトや公式アプリで確認してください。

また、海外送金はトラベルルール施行でプロセスが複雑化しています。送金先情報を国内取引所へ報告するなどし、適切な手順を踏む必要があります。上記図はDMMビットコインの送金画面です。送金先情報の事前登録や宣誓事項への同意が必要になっています。

※2 CEX(Centralized Exchange:中央管理型取引所)

関連記事:トラベルルールとは?仮想通貨の送金規制に対応するためのユーザーガイド

レスキューふくろう

トラベルルールへの対応は大切。
仮想通貨が国際犯罪に使用されなくなれば、信用も上がるしね。

3.USDTへトレード

出典:Bitget

海外取引所へ送金が完了したら、USDTにトレードします。上記図はXRP/USDTペアの取引画面です。XRPは比較的ボラティリティリスクが低い銘柄ですが、それでも数分で数%トといった価格変化をする可能性があります。着金後は速やかにUSDTにトレードすることが大切です。

DEXトレード

DEX※3はウォレットを接続し、ユーザーの責任下で利用する自動取引所です。CEXのように明確な管理者はいません。このため、仲介手数料などのコストを抑えることができます。

1.ホットウォレットへ入金

出典:Metamask

DEXを利用するにはホットウォレットが必要になります。ホットウォレットの具体例としては、MetamaskやBitget Walletが挙げられます。一般的な入金方法として、国内取引所からの送金が利用されます。

2.DEXへ接続

出典:PancekeSwap

それぞれのDEXで利用できるネットワークが異なるので、接続する前に確認してください。多くのネットワークに対応したマルチ型DEXも増えてきています。例えば、PancakeSwapは2024年10月時点で9つのネットワークに対応しています。

上記図はPancakeSwapのホーム画面です。右上にネットワーク選択タブがあります。自身が使用するネットワークを設定してください。次に、「ウォレットを接続」をクリックします。ウォレットを立ち上げた状態でないと接続できないので注意してください。

3.USDT購入

出典:PancekeSwap

DEXのスワップ機能を用いてUSDTを購入します。PancekeSwapではトレードメニューから「スワップ」を選択し、交換先銘柄に「USDT」を設定し、スワップボタンをクリックします。

スワップが成功すると自動でウォレットにUSDTが入金されます。

※3 DEX(Decentralized Exchanges:分散型取引所)

ウォレットスワップ

国内取引所からMetamaskなどのプライベートウォレットに送金した後に、ウォレットのスワップ機能でUSDTを入手することができます。

Metamaskだけでなく、Bitget Walletなど多くのウォレットでスワップ機能を提供しています。DeFi(分散型金融)ということで自己責任となりますが、操作はとても簡単です。

レスキューふくろう

最近は多くのホットウォレットでスワップ機能が実装されてるね。

P2P

出典:Bitget

P2P(Peer-to-Peer)はユーザー間の直接取引です。直接連絡などで取引を進める場合は、詐欺などのリスクもあるので注意してください。

詐欺行為を回避するためには、取引所が用意しているP2Pサービスを利用するのも効果的です。

例えば、BitgetではP2Pの仲介サービスを行っています。実際に購入したUSDTがユーザー口座に振り込まれた時点で取引が完了するので、受け渡しに不備が生じないようになっています。

USDTの使用方法

  • Web3決済(FT/NFT購入など)
  • 国際送金
  • 資産価値の保存

USDTは米ドルとペッグしていることから、Web3決済以外にも国際送金や貯金(セービング)といった用途で使用されています。

Web3決済(FT/NFT購入など)

Web3プロジェクトではローンチ当初、FT※4やNFT※5の先行販売が行われることがあります。このFTやNFTの支払いにUSDTが使用されます。

また、NFTマーケットプレイスでもネットワークトークン(ETHやBNB)の他、USDTで支払いができることがあります。

※4 FT(Fungible Token)はBTCやETHなど代替可能なトークンです。

※5 NFT(Non-Fungible Token)は画像や映像などのデジタルデータとリンクしたトークンです。

レスキューふくろう

支払い機能として支持されているんだよ。
やっぱりドルペッグは大きい!

国際送金

ブロックチェーンネットワークは国境という制限がありません。USDTはさまざまなネットワークを利用して国際送金に使用できます。

銀行を用いた国際送金は手数料がかさみ、送金完了までに数日営業日がかかることがあります。しかし、USDTを用いれば数分から数十分で国際送金は完了します。

ただし、日本国内の取引所からUSDTを国際送金することはできません。日本人ユーザーはプライベートウォレットを使用して送金をすることになります。

資産価値の保存

USDTは米ドルとペッグしているので、他の仮想通貨と比べて市場価格は安定しています。支払いや送金に使用しない時に貯金手段として使用できます。

一方で、日本人がUSDTを使用する際は為替リスクも認識することが必要です。ドル円の変動は大きくはありませんが、それでも1日で数%変動することもあります。

各取引所ではUSDTを用いた金融商品もラインアップしています。中にはかなりの高金利商品がありますが、取引所自体が倒産してしまうリスクもあるので注意が必要です。海外取引所が倒産してしまった際は、預入資金が戻らない場合があります※6。

※6 香港のAAXという取引所が倒産した際、ユーザー資金は戻りませんでした。

関連記事:

レスキューふくろう

特に仮想通貨を使う予定ない人は、一度USDTにして保管しておくんだ。資産価値が安定するからね。

USDTを送金する際の注意点

価値が安定し、ユーザビリティも高いUSDTですが、使用時の注意点もあります。使用ネットワークの選択、市場リスク、各国の規制といったポイントをまとめて解説します。

ブロックチェーンネットワークの選択

USDTはETHやBNB、Solanaなど、さまざまなネットワークで使用できます。送金する際はネットワークを間違わないようにしましょう。

ネットワークに対応していないCEXやプライベートウォレットに送金をしてしまった場合は、資産が失われる可能性があります。

一方で、ネットワークを間違った場合でも資産は復旧できることがあります。CEXに送金してしまった際は、カスタマーサービスに問い合わせてください。送金元への返金をしてくれることがあります。プライベートウォレットの場合は表示ネットワークを変更してみましょう。受信資金が表示できるかもしれません。

レスキューふくろう

送金ネットワークの選択時は気をつけてね。
USDTは20以上のネットワークで流通しているんだ。

市場のリスク

USDTは米ドル連動の仮想通貨です。一般的な仮想通貨銘柄と比べると市場価値は安定しています。しかし、そのUSDTも市場の変動を受けてドルペッグが外れることがあります。

また、「USDTの使用方法-資産価値の保存」で解説した通り、日本人にとっては為替リスクが発生します。ドル円相場には注意が必要です。

当該国での規制

国によって、USDTは規制対象になっている場合があります。日本でも取引所でのトレードはできません。USDT規制の背景として挙げられるのが、既存金融への配慮、CBDC※7戦略との競合です。米国ニューヨーク州ではUSDT発行元のテザー社に営業停止を命じています。欧州やカナダでもステーブルコインに関する規制作りが進んでいます。

一方で、USDTを受け入れている国や地域もあります。スイスのルガーノ市では「Plan ₿」というプロジェクトの中で、仮想通貨の使用促進を目指します。BTCやUSDTだけでなく、スイスフランにペッグされたLUGAの利用拡大も図っています。

※7 CBDC(Central Bank Digital Currency:中央銀行デジタル通貨)

参照:Swiss Lugano 「What is Plan ₿」

参照:日本銀行「中央銀行デジタル通貨とは何ですか? : 日本銀行 Bank of Japan」

まとめ

USDTは、米ドルに連動したステーブルコインで、価格変動が少なく安定性が高いため、国際決済ツールとして注目されています。また、マルチチェーン対応により、さまざまなネットワーク上で取引が可能です。これからは各国の規制に対応していくことで、さらなるプレゼンスを示せるようになるでしょう。

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