ETH(イーサリアム)はBTC(ビットコイン)に次ぐ市場規模を誇る仮想通貨です。国内取引所でもトレードできることから、日本人利用者も増加しています。しかし、ETH送金にはスマートコントラクトの脆弱性やスケーラビリティといった特有の課題があります。
この記事ではETH送金の基本や注意点、オンチェーントラブルを未然に防ぐためのポイントを解説します。
- ETHの概要
- ETH送金時の注意点
- ETH送金時のトラブルと解決方法
ETHはBTCと同じくらい有名な銘柄!
保有者も多いから送金トラブルの事例も多いよ。
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ETHとは?~初心者向け基礎知識~
ETHは2015年に発効された仮想通貨です。市場規模は2024年9月時点で約44兆円となります。BTCに次ぐメジャートークンとして多くの取引所でトレードが可能です。
また、ETHは単なる決済手段としてだけでなく、分散型アプリケーション(DApps)やスマートコントラクトを実行できるプラットフォームとしても機能します。すでに金融サービスやゲーム、NFT(非代替性トークン)など、様々な分野でETHを活用したビジネスが進められています。
ETHの特徴はスマートコントラクトとPoS
ETHの特徴として大きく2つ、スマートコントラクトとPoSが挙げられます。スマートコントラクトは、プログラムによって自動的に実行される契約のことです。中間者(銀行などの管理者)を介さずにトレードを行うことができます。
また、ETHはPoS(Proof of Stake)という環境に優しい合意形成メカニズムを採用しています。PoSでは、たくさんのコンピュータの計算力ではなく、ETHを持っている人たちがネットワークシステムに「ステーク(預ける・賭ける)」することで、取引を確認する役割を果たします。このため、とても低い電力でネットワークを稼働させることが可能です。
スマートコントラクトとかPoSとか難しいよね。
でも、ここがETHを理解するうえで重要なポイント!
ETHの将来性
ETHは発効当初こそ60円程度の市場価格でしたが、その後に値上がりを続けて2024年6月に60万円に到達しました。実に1万倍もの価格上昇です。
PoSへの移行、またはL2※1の活用によってスケーラビリティの課題も解決しています。これからWeb3時代に突入していくことで、本格的なETHニーズが巻き起こるといわれています。専門家の間では2030年までに数万ドル(数百万円)程度まで値上がりするという予想もあります。
※1 L2(Layer2)はイーサリアムネットワーク上に構成される新たなネットワークです。
ETHの発行は2015年7月。
こんな値上がりするとわかっていたらETHをいっぱい買ってた…
ETH送金の基本を押さえよう
ETHは中央集権型取引所(CEX※2)とプライベートウォレットで利用可能です。法定通貨で最初にETHを購入する際はCEXを使用します。プライベートウォレットはDAppsへの接続や送受信に使います。ユーザーの目的に合わせてCEXとプライベートウォレットを使い分けると良いでしょう。
※2 CEX(Centralized Exchange)
1.ウォレットを選ぶ
CEXウォレット | ホットウォレット | ハードウォレット | |
管理者権限 | 取引所 | ユーザー | ユーザー |
本人認証 | 必要 | 不要 | 不要 |
セキュリティ | 取引所による | ハッキングのリスクあり | オフラインのため強固 |
アクセス | 取引所へアクセス | インストール | デバイス購入 |
主な用途 | 法定通貨とのトレード | DAppsアクセス | 資産保護 |
ETHを送受信するためにはウォレットが必要になります。ウォレットはCEXウォレット、ホットウォレット、ハードウォレットに分けられます。プライベートウォレットと称されるのがホットとハードウォレットです。
例えば、日本円をETHに変換する場合はCEXウォレットを使用します。DAppsなどへのアクセスではホットウォレット、資産をより安全に管理するためにはハードウォレットを使います。
CEXウォレットは取引所のアカウント作成時に自動で付与されます。ウォレットアドレスは送受信時に取引所から提示を受けます。ホットウォレットはアプリインストールが必要です。最も有名なETHホットウォレットはメタマスクになります。ハードウォレットはデバイスを購入してUSBコードを用いて仮想通貨を入金・保管します。
2.ETH入手
ETHは国内取引所であればどこでも購入できます。また、他のユーザーから送金してもらって入手する方法もあります。
取引所では取引所機能と販売所機能を使ってETHを入手できます。安く購入できるのは取引所機能です。また、「成行」と「指値」などの注文機能がある場合もあります。成行は市場価格を問わずに購入を決定する方法です。指値は購入価格をあらかじめ指定して注文をだします。
すぐに購入したい時は成行注文を使用すると良いでしょう。購入量を入力し、決定(購入画面へ)を入力することでETHを入手できます。
いろんな取引所でETHは買えるけど、購入手数には差があるよ。
取引所を比較することは大切!
3.ETH送受信
メタマスクなどのホットウォレットの場合、ETHを送金する際は送金先のウォレットのアドレス、送金金額を入力し、送金を完了させます。受信時は自身のウォレットアドレスを相手に知らせるだけです。
取引所を使用する際は送金先や送信元情報を報告する必要があります。これは仮想通貨の犯罪利用を防ぐための処置です。例えば、GMOコインの場合は事前に送金先情報を登録し、違法性がない旨を確認してからでないと送金ができません。
ETH送金時の5つの注意点~トラブルを未然に回避~
ここではETHを送金する際に注意すべき点を5つにまとめて解説します。ETH送金時にこれらのポイントをしっかりと押さえて、トラブルを未然に回避しましょう。
1. アドレスとネットワークは再確認!
ウォレットアドレスとネットワーク(チェーン)を間違えて送金してしまうと資産が永久に失われる可能性があります。
ETHのウォレットアドレスは「0x」で始まります。これはETHアドレスを識別する重要な特徴です。また、アドレスは英数字の文字列で、約40文字で構成されます。送金時にはコピー&ペーストを利用し、入力後に再確認しましょう。
メタマスクであれば、ホーム画面の上部にウォレットアドレスが表示されています。コピーアイコンをクリックして保存できます。
CEXウォレットでは「1.ウォレットを選ぶ」で前述した通り、送受信の際に取引所からETHウォレットアドレスが提示されます。CEXウォレットはユーザーによる操作はできますが、保管されている資産全てを管理できるわけではありません。
ネットワークはETHであればイーサリアムネットワークを選択してください。取引所やプライベートウォレットの種類によっては「イーサリアムチェーン」、「ETH」などとネットワーク名が記されていることがあります。
2. 高額なガス代を回避
ETHだけでなく、仮想通貨を送受信する際はネットワーク使用料が発生します。そのネットワーク使用料を一般的に「ガス代」と呼びます。
ETHは比較的ガス代の高いネットワークです。ネットワーク改善(スケーラビリティの向上)によって著しく高いガス代は発生しなくなりましたが、他の銘柄と比べてコストは大きいといえます(数十円〜数百円)。
EtherscanのEthereum Gas Trackerではネットワークが混雑し、ガス代が高くなるタイムデータを参照できます。ガス代を抑えるためには混雑時間を回避すると良いでしょう。
ガス代は見積額がウォレットに表示されるよ。
高すぎるって時は時間をずらしてみよう!
3. 少額テスト送金のすすめ
大金を送る際は一度少額で送金テストを行いましょう。確実にウォレットに届くことを確認してください。
プライベートウォレットでは最小送金額は決まっていませんが、取引所では最低送金額が設定されていることがあります。例えば、GMOコインではEHTの送付1回あたりの最小数量は0.1 ETHです。また、最小送金額は変更されることがあるので、取引所の公式サイトなどで最新の情報を参照することが大切です。
面倒だけど、テスト送金は本当に大切!
4. 二段階認証の活用
取引所でETH送金を実施する際、二段階認証を活用してセキュリティを高めることができます。
二段階認証は送金確認などをメールやSMS、アプリでユーザー確認をする機能です。例えば、不正に取引所にアクセスした者が送金を試みた際、正規ユーザーの元にメールやSMSで可否確認をします。認証アプリはワンタイムパスワードを用いた本人確認です。Google Authenticatorなどが認証アプリとして広く知られています。
5. フィッシング詐欺への対策
フィッシングサイトを見極める手法として、URLの確認が有効です。メタマスクの公式URLは「https://metamask.io/」です。語尾「.io」で、「.com」もしくは「.co.jp」などは付きません。特にXなどのSNSでメタマスクのサポート情報を探す際は十分に注意してください。別サイトに誘導されて詐欺に遭う可能性があります。
フィッシングサイトではウォレット接続を求められることがあると思います。接続して承認するだけでも資産をリスクにさらす可能性があります。怪しいと思ったらすぐにリボーク※3をして承認を取り消しましょう。
※3 リボークはウォレット承認を取り消す手法です。
ETH送金のトラブルとその解決方法
「ETH送金時の5つの注意点」をしっかりと確認して送金してもトラブルに見舞われることもあると思います。ここではそんなトラブル時の解決方法を解説します。完全に諦める前にぜひ試してみてください。
送金が完了しない場合の確認
実はETHは送金速度がそれほど速くありません。ネットワークの状況によりますが、混雑時は数十分から1時間以上かかることもあります。また、取引所を介した送金となると管理面での手続きが負担となってさらに時間がかかることがあります。
まずはEtherscanなどでトランザクションIDを入力し、送金情報を確認してください。ウォレットアドレスから送金結果をサーチすることもできますが、CEXなどのウォレットは多くの取引を行うので自身の結果を探すことは難しいかもしれません。
送金が完了している場合は少し時間をおいてからウォレット内を確認してみてください。
ウォレットアドレス入力ミスへの対応策
ウォレットアドレスを間違えた場合は、送金先によって執るべき行動が異なります。
プライベートウォレットのアドレスへ送金してしまった際は取り戻す術がありません。また、実在しないアドレスに送金した場合も取り戻すことはできません。
しかし、実在する取引所のウォレットアドレスに誤って送金してしまった時はカスタマーサービスが対応してくれる可能性があります。取引所への送金時は問い合わせてみましょう。
海外取引所でも日本語で対応してくれるところもあるよ。
ネットワーク選択ミスの対応策
ネットワーク間違いの場合は、プライベートウォレットの設定を変えることで資産が表示されるかもしれません。例えば、ETHのレイヤー2ネットワークであるOptimismやArbitrum、Polygonに送金した際はネットワーク設定で資産を回復(可視化)できる可能性があります。
「ネットワーク設定がよくわからない」という方はクリプトレスキューセンターにご相談ください。皆様の資産を取り戻すお手伝いをさせていただきます。
ガス代不足による取引失敗の解決方法
ガス代不足でEHT送金が失敗する場合があります。しかし、慌てる必要はありません。ガス代不足の場合は送金自体が完了しないため、ウォレットから資産が失われることはないからです。
特にETHはガス代が高騰する場合があるので、余裕をもってガス代を見積りましょう。
スマートコントラクトのトラブル対処
スマートコントラクトはETHの大きなメリットの一つです。しかし、悪用される場合があります。例えば、ETHウォレットに知らないNFTが送り付けられてくることがあります。そのトークンを承認してしまうと、悪意あるプログラムが働いてウォレット内資産を不正送金される可能性があります。
重要なのは、知らないNFTは承認しないことです。もし、承認してしまったらEtherscanでリボークしましょう。また、ウォレット内資産を別ウォレットへ移して保全するといった対策も大切です。
まとめ
ETHの送金時には、アドレス・ネットワーク確認や高額なガス代の回避など、いくつかの注意点があります。また、スマートコントラクトに潜むリスクも理解することが重要です。この記事で紹介したポイントを参考に、安心・安全なETH取引を心がけましょう。
ETHのトラブルについてさらに疑問や質問がある方は、ぜひクリプトレスキューセンターにお問い合わせください。専門スタッフが丁寧にサポートいたします。