金の現物投資は古い?ゴールドトークンの流通量が増加している背景

地政学リスクやインフレ不安が続く中、「金(ゴールド)」は安全資産として改めて注目されています。そして近年ではテクノロジーの進化により、ゴールドの保有・活用形式にも多様性が生まれています。中でも投資家から支持を集めているのが、保管の手間がかからないゴールドトークンです。

本記事ではゴールドトークンの概要、普及の背景、リスク、そして今後の展望について解説します。

この記事の内容
  1. ゴールドトークンの概要
  2. ゴールドトークンのメリット
  3. 有力なゴールドトークン銘柄
レスキューふくろう

金(ゴールド)の市場価値に連動する暗号資産銘柄があるんだ。
トレードと保管が簡単だから、注目されているよ。

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目次

不安定な世界情勢時に選ばれるゴールド

ギリシャ発の欧州債務危機、米中対立、新型コロナ、ロシアのウクライナ侵攻、そして中東の緊張と、私たちは幾度も全世界的なリスクに直面してきました。ゴールドはリスクが顕在化したときに、資産保護ツールとしての力を発揮します。まずは、ゴールド資産の概要について理解を深めていきましょう。

ゴールド資産について

資産形態主な例特徴
現物ゴールド地金(インゴット)金貨、ジュエリー家や貸金庫に保有装飾品としても活用
ゴールドETFSPDRゴールド・シェアiシェアーズ・ゴールド・トラスト証券口座で取引可能流動性が高い
ゴールドトークンPAXG、XAUTなどゴールドに連動した暗号資産デジタルで保有・送金可能

ゴールド資産とは、その名の通り「金(ゴールド)」を基盤とする資産の総称です。最も知られているのがゴールドそのものを保有する現物です。しかし、近年では金融商品やデジタル資産としても多様なゴールド資産の形態が存在します。

上記表はゴールドの資産形態についてまとめたものです。これらはいずれもゴールドの市場価格に裏付けられていますが、特徴が大きく異なります。

ゴールドが好まれる理由

  • 価格が安定している
  • 持ち運びできる
  • 世界共通で流通している

ゴールドが資産として長く支持されてきたのは、その価値の安定性にあります。金融市場が不安定になると、株や通貨が乱高下します。しかし、ゴールドは実物資産としてその価値を保ちやすいため、有事の際の避難先として機能します。

さらに、ゴールドは世界中の市場で取引されているため、地理や国境を問わず換金性が高いのも特長です。こうした要因から、古くからゴールドは多くの人に好まれているのです。

ゴールドの価値が下がる時

時期原因金価格の動き
1980年以降高金利・ドル高政策による反動オイルショック高騰後に急落
2008年(リーマンショック)現金化のためゴールドも売却約3,259円 → 約2,731円に下落
2013年頃米国の景気回復・株高による資金移動高値から下落基調に

ゴールドは安定資産とされますが、状況によっては価格が大きく下落することもあります。

たとえば1980年代にはアメリカの金利引き上げとドル高を背景に、金価格が高騰から一転して急落しています。また、2008年のリーマンショック直後には、投資家が現金確保を優先したことでゴールド価格が一時的に急落しました。

さらに、景気回復期や株式市場の好調時には、より高いリターンを求める投資家が増えるため、金価格が低下するといわれています。またドル高や金利上昇時にも、ゴールド売りは増加する傾向があります。

レスキューふくろう

ゴールドの価値は下がることがあるからね。
けど、下げ場に買い増すっていう戦略もあるよ。

現物ゴールドからデジタルゴールドへ

現物のゴールドは、手元に保有できる安心感や装飾品としての用途から、多くの投資家や富裕層に選ばれてきました。

一方で、現物ゴールドには保管リスクが伴います。ここではまず、現物を取り扱う際のリスクを整理し、その後にゴールドのトークン化が進む背景を解説します。

現物を取り扱うリスク

  • 盗難・紛失リスク
  • 保管コスト
  • 売却や換金に手間がかかる

自宅でゴールドを保有する際は盗難・紛失リスクが伴います。銀行の貸金庫や専門業者の保管サービスも利用できますが、コストが発生します。売却は貴金属店や古物商でできますが、移動の手間がかかるうえ手数料も高いです。

大量に保有している場合は、相続や譲渡の際も手続きが煩雑になることがあるため、現物保有を決断する際はこれらのリスクをしっかりと理解することが大切です。

レスキューふくろう

金の延べ棒を自宅保管している人は少ないと思うけど。
お金持ちの中にはいるかもね。

ゴールドのトークン化

前述の通り、現物ゴールドの保有にはリスクと手間が伴います。そこで近年注目を集めているのが、ゴールドの市場価値に連動した「ゴールドトークン」です。

代表的なものにPAXGやXAUTがあります。これらのトークンは暗号資産取引所で売買ができ、スマートフォンにインストールしたウォレットで保有や送金が可能です。利便性と実物資産の価値を両立したデジタルゴールドは、新たなゴールド保有の手段として急速に普及し始めています。

ゴールドトークンに潜む3つの落とし穴

利便性の高いゴールドトークンですが、その裏にはリスクも存在します。ここでは、特に重要なリスクを3つにまとめて解説します。

①発行元リスク

ゴールドトークンは現物のゴールド価格に裏付けられていますが、その信用は発行元企業に大きく依存します。

PAXGはニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の監督下にあるPaxos社によって運用され、ガバナンスで一定の評価を受けています。一方、XAUTはスイスに保管されているゴールドを裏付けにしているものの、監査情報が限定的で透明性に課題があります。

また、発行事業社は民間企業のため、倒産といった最悪の結果も起こり得るのです。

②自己責任リスク

ゴールドトークンの流通はブロックチェーン技術によって成り立っています。自ら管理するウォレットの秘密鍵を紛失した場合は、他人によってゴールドトークンが盗まれる可能性もあります。また、送金操作を間違った際の資産回復もできません。ウォレット操作は完全に自己責任なのです。

③取引所リスク

ゴールドトークンは主に海外の中央集権型取引所(CEX)で取引されており、そのCEXは日本の金融庁に登録された業者ではありません。

たとえば、XAUTはBybitやBitgetなどで取引されています。しかし、これらの取引所は金融庁の警告リストに掲載されているのです。不測事態が起こった際に、しっかりと資産回復が図られるのかは不透明です。

ハッキングリスクもゼロではありません。どんなに大きな取引所でも、デジタルネットワーク上でサービスを提供しているため、ハッキングされる可能性があります。実際に世界第2位の取引所「Bybit」は北朝鮮によってハッキングされています。

ゴールドトークンの運用

保有するトークンは中長期的に使用用途が無い場合、ステーキングやレンディングで運用をするのが一般的です。では、PAXGやXAUTなどのゴールドトークンも同様に運用できるのでしょうか?

結論から言えば、ゴールドトークンの運用はほぼ全ての主要なCEX、DEXで対応していません※。

【ゴールドトークンの運用ができない理由】

  • ゴールドは利息を生まない
  • 担保として不向きと見なされている
  • 取扱う取引所が限定的

ゴールドトークンは特性上、Web3における一般的な運用手法であるステーキングやレンディングには適していません。ゴールドそのものが利息を生まない資産であるため、ステーキング報酬の原資を用意しにくいのです。

またレンディングサービスでも、多くの取引所はPAXGやXAUTを担保資産として認めていません。ゴールドトークンは主に資産保全目的で保有されるため、借り手側の需要が生まれにくいといった背景があります。

※日本発のゴールドトークンZPGは国内取引所でレンディング運用ができます。

レスキューふくろう

ゴールドトークンの運用ができる取引所もあるけど、他のトークンに比べて年利は低いよ。

主要なゴールドトークン銘柄

トークン名時価総額備考
XAUT1,180億円Tether社発行流通量最多
PAXG1,115億円NY規制下の信頼性主要CEXに広く上場
KAU数十億円独自エコノミー型Kinesis経済圏で使用
ZPG数億円日本国内向けトークン日本円で購入可能

ゴールドトークンにはどのような銘柄があるのでしょうか。最も知られている銘柄はPAXGとXAUTです。しかし、この2つの銘柄は日本国内では購入できません。一方で、日本でも買える日本独自のゴールドトークンも存在します。

Tether Gold(XAUT)

米国のTether社が発行するゴールドトークンです。1XAUTは1トロイオンスの金に裏付けられています。担保となる現物はスイスの金庫に保管されています。ERC-20トークンとして発行されており、もっとも市場規模の大きい銘柄となります。

海外のCEXで多く取引されており、分散型取引所(Uniswap)でも購入可能です。MetaMaskなどのノンカストディアル型ウォレットで保管することもできます。

参照:https://gold.tether.to/

Paxos Gold(PAXG)

Paxos社が発行するPAXGは、1PAXG=1トロイオンスのゴールドに裏付けられたERC-20トークンです。ゴールドの現物はロンドンのグッド・デリバリー・バーで保管されており、米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の監査も受けています。市場規模はXAUTと同等程度です。

Binance、Kraken、KuCoinなど複数の大手CEXで取引が可能で、Uniswapを使えばDeFiウォレット経由での購入・保有もできます。

参照:https://www.paxos.com/pax-gold

Kinesis Gold(KAU)

Kinesis社が発行するKAUは、Kinesis経済圏内で通貨のように使える「実用型ゴールドトークン」です。裏付けとなるゴールドは、ロンドンおよび世界の認定保管機関に保管され、1KAU=1gの金でペッグされています。

KAUは送金・決済・報酬インセンティブにも使われる設計になっています。流通量はXAUTやPAXGと比べると少ないですが、Kinesisプラットフォーム内での流動性はあります。また、限定的ながら一部のCEXや専用アプリで購入可能です。

参照:https://kinesis.money/

ジパングコイン(ZPG)

ジパングコイン(ZPG)は、三井物産デジタルコモディティーズが発行する日本発のゴールド価格連動型トークンです。1ZPGが1gの金とペッグされています。日本円で購入できる点が最大の特徴です。またZPGを取り扱う取引所は、全て日本の金融規制下にあります。

一方で、市場規模はXAUTやPAXGに全く及びません。将来的に390億円程度の発行上限が予定されていますが、需要に応じて変更されることも考えられます。経済規模を上げるためには、海外取引所などでのリスティングを進める必要がありますが、日本国内の法制度がネックとなっています。

参照:https://www.zipangcoin.com/

ゴールドトークンのこれから

ゴールドトークンは単なる一時的ブームなのでしょうか。これからも安全資産として多くの人から支持されていくのでしょうか。普及のカギとなる発行元の信用、運用手法の拡大、税制の課題について解説します。

普及のカギは発行元の信頼性

現時点でゴールドトークン発行元は全て民間企業です。そのため、倒産リスクもゼロではありません。トークン発行元が倒産した場合でも、トークンのエコノミクスがしっかりと維持されるような体制・システム作りが重要になります。

レバレッジトレードには要注意

ゴールドトークンは、証拠金取引やレバレッジ取引に利用できる場合があります。価格変動が比較的小さく見えるゴールドであっても、為替・スプレッド・取引所価格の3要素が絡むため、損失リスクはあります。

取引所によっては強制ロスカット基準が不明確な場合もあるため、デリバティブ取引には慎重な姿勢になる必要があります。

税制の課題

ゴールドトークンは、表面的にはゴールドと等価の価値を持ちますが、税制上は暗号資産として取り扱われます。

たとえば日本でZPGを売却した際の利益には、最大55%の税金がかかります(個人の雑所得)。また、海外の取引所で購入した場合や、ウォレット間で移動した場合においても、国外財産調書や確定申告漏れのリスクが生じます。

さらに、ゴールドは国内外の移動に申告が必要となることがあります。ゴールドトークンの海外への持ち出し・国内への持ち込みについてはグレーであり、法的に整備されていない領域です。将来的には、関税や消費税の対象と見なされるかもしれません。

まとめ

ゴールドトークンは、現物に代わる新たなゴールドの保有方法として有力視されています。しかし、発行元の信頼性や技術的リスク、税制・規制の課題も存在し、その仕組みを理解せずに手を出すのは危険です。ゴールドトークンの仕組みをしっかりと理解し、メリットを上手く活用していくことが大切です。

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