仮想通貨を紛失するユーザーが増えている?主な原因と予防策を解説

仮想通貨は安いコストでスピーディに送金でき、取引所での運用利率も高いことから利用者は増加しています。

一方で、送金失敗や詐欺被害などで仮想通貨を紛失する事例も多くなってきています。特に初心者ユーザーにとっては現実的なリスクです。

本記事では仮想通貨の紛失原因、紛失予防策、紛失をしてしまった際の対応策をまとめて解説します。

この記事の内容
  1. 仮想通貨の紛失原因
  2. 仮想通貨の紛失予防策
  3. 仮想通貨紛失時の対応策
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目次

仮想通貨を紛失するユーザーが増えている?

紛失するユーザーが増えている背景には初心者層の増加があります。ブロックチェーンや取引所は誰でも利用可能ですが、ウォレット操作に慣れていないと意図に反した送金をすることになります。

また、ユーザーミスだけでなく、取引所の過失や詐欺といったケースでも仮想通貨を紛失する場合があります。

参照:消費者庁「暗号資産(仮想通貨)に関するトラブルにご注意ください!」

仮想通貨は返ってこない?

送金ミスや不正アクセスで仮想通貨を失った場合、基本的に返ってきません。これには、ブロックチェーン技術の高い秘匿性とセキュリティが影響しています。

また、プライベートウォレットに送金された場合、送金先相手の情報を調べるのは困難です。さらに、取引が一度記録されると改ざんが不可能であることから、返金操作などはできません。

レスキューふくろう

「基本的」に返ってこないんだけど。
ある条件で返金の可能性はあるよ。
詳しくは「仮想通貨を紛失してしまったら?」で!

海外取引所の利用には注意が必要?

海外取引所を利用するユーザーも増えてきています。海外取引所は取扱い銘柄数も多く、高いユーザビリティが魅力です。しかし、資金流出事案、倒産、出金制限などのリスクがあります。

2022年に香港の仮想通貨取引所「AAX」が営業停止となった際は、ユーザー資金の引き出しができなくなりました。日本国内の取引所は金融庁の監督下におかれ、セキュリティや補償などが明確化されています。海外取引所の場合はユーザ保護体制が不明瞭の場合があるので注意してください。

参照:COINPOST「運営停止中の仮想通貨取引所AAX、業務再開は困難か」

仮想通貨の紛失原因

カテゴリー紛失要因
セキュリティ関連フィッシング詐欺・不正アクセス
取引所へのハッキング
スマートコントラクトの悪用
認証・管理ミスシードフレーズ紛失
ハードウェアウォレットの故障
取引ミス誤ったアドレス入力誤ったチェーンの選択
投資リスクICO詐欺Web3プロジェクト失敗

仮想通貨を紛失する原因には、ユーザーの操作ミス以外によるものもあります。特に詐欺などの犯罪で仮想通貨を紛失するユーザーが増えています。

参照:国民生活センター「マッチングアプリで知り合った人から勧められた暗号資産の投資サイトに手数料を支払ったが、出金できない」

フィッシング詐欺・不正アクセス

フィッシング詐欺・不正アクセスは仮想通貨を狙った詐欺行為です。詐欺グループは本物そっくりのウェブサイトやメールを使い、ユーザーからウォレットの秘密鍵やログイン情報を盗みます。その後に取引所やユーザーのウォレットに不正にアクセスし、仮想通貨を操作します。近年はフィッシングの手口が巧妙化しており、被害者数は増加の一途をたどっています。

取引所へのハッキング

取引所は多くの仮想通貨を保管しているため、ハッカーにとって魅力的なターゲットになります。最近ではDMM Bitcoinがハッキングされ、4,502.9BTC(約482億円相当)が不正流出しています。

取引所へのハッキングは仮想通貨ユーザーの過失ではありません。よって、取引所によって補償が行われます。しかし、海外取引所などでは補償が行われない可能性もあるので注意が必要です。

参照:DMM Bitcoin「暗号資産の不正流出発生に関するご報告」

レスキューふくろう

481億円ってめちゃくちゃスゴイ額だよね。
でもユーザー資産は補償されたんだって。
やっぱり、日本の取引所は信用度高いよね。

スマートコントラクトの悪用

スマートコントラクトはブロックチェーン上で自動取引を実行するプログラムです。とても便利なシステムなのですが、悪意あるコードやバグが含まれたスマートコントラクトを使用した場合、仮想通貨が意図しないアドレスに送信されたり、ロックされたりすることがあります。

参照:Ledger Academy 「スマートコントラクト関数-詐欺を見抜く方法」

シードフレーズ紛失

シードフレーズはウォレットを復元するための重要な情報です。シードフレーズを安全に保管していない場合、コールドウォレットデバイスの故障やパスワード紛失といった事態に対応できなくなります。

参照:Metamask「ユーザーガイド:シークレットリカバリーフレーズ、パスワード、秘密鍵」

ハードウェアウォレットの故障

ハードウェアウォレットは仮想通貨を安全に保管する方法の一つです。しかし、デバイスの故障や破損によりアクセス不能になるリスクもあります。シードフレーズやバックアップファイルを保存していない場合、ウォレットの故障は仮想通貨の完全な紛失につながります。

誤ったアドレス入力

仮想通貨を送信する際に誤ったアドレスを入力して送金した場合、取り戻すことは非常に困難です。ブロックチェーンの特性上、送金を取り消すことはできません。アドレスの誤入力は初心者に多く見られ、多額の仮想通貨が失われることがあります。

誤ったチェーンの選択

異なるブロックチェーン間での誤送信も主な仮想通貨の紛失原因です。送信先のチェーンを誤って選択すると、仮想通貨が異なるチェーン上に送信され、アクセス不能になることがあります。

ICO詐欺

仮想通貨黎明期より、ICO(Initial Coin Offering)を用いた詐欺行為が確認されています。新規発行トークンプロジェクトを装って多額の資金を集めた後に、運営者が消えるといったスキームです。犯行グループは集金した仮想通貨をKYC※を設定していない取引所で法定通貨に換金することで逃げ切ります。

※ KYC(Know Your Customer:本人認証)

参照:金融庁「ICO(Initial Coin Offering)について」

Web3プロジェクト失敗

Web3プロジェクトに投資していた資金が消えることもあります。2022年にNFT※やBCG※が流行った際は、トークンやNFTのプレセールが多く催されました。しかし、プロジェクト自体が停滞もしくは失敗し、そのまま投資金額が戻らなかったケースが多発しています。

※ NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)は画像や動画などのデジタルデータと紐づいたトークンです。

※ BCG(Block Chain Game)はブロックチェーンを利用したゲームです。

仮想通貨を紛失させないための予防策

仮想通貨紛失にはさまざまな原因がありますが、予防策をしっかりとっていれば防ぐことができます。

信用の高い取引所を使用する

信用があり、セキュリティ対策がしっかりしている取引所を選ぶことで、ハッキングリスクや引き出し制限リスクを大幅に減らせます。まずは、しっかりと規制当局の認可を受けている取引所を選んでみましょう。評判やユーザーレビュー、セキュリティ対策の公開情報も確認してください。

参照:金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」

秘密鍵とシードフレーズを安全に保管

秘密鍵※やシードフレーズを他人と共有しないことが重要です。これら情報は紙面での保管、もしくはオフラインストレージでの保管が推奨されます。また、定期的なバックアップと分散保管も仮想通貨の紛失リスク低減の有力な方法です。

※ 秘密鍵はウォレット内の資産所有を証明するためのコードです。

コールドウォレットの使用

コールドウォレットはインターネットから隔離されているため、ハッキングのリスクが低いとされています。オンライン攻撃から保護されているため、長期保管に最適です。一方で、デバイス自体の劣化リスクや紛失リスクもあります。定期的にウォレットの状態をチェックし、更新が必要な場合には早めに対応することが大切です。

送金先アドレスと使用チェーンの確認

送金前にアドレスを慎重に確認し、チェーンの選択が正しいことを確認しましょう。ビットコインやビットコインキャッシュ、イーサリアムやイーサリアムクラシックなど似ているチェーンもあるので注意してください。また、小額のテスト送金も送金ミスを防ぐうえで効果的です。

ショルダーハッキングの予防

ショルダーハッキングは他人が肩越しに画面やキーボード入力を盗み見る手法です。パスワードやシードフレーズを入力する際は周囲の状況にも注意を払いましょう。また、公衆の場での重要な情報入力は避けるべきです。

レスキューふくろう

アナログなハッキング方法だけど、気をつけないとね。
シードフレーズを紙で保管している人も絶対に他人に見せちゃダメ!

仮想通貨を紛失してしまったら?

「つい予防策を忘れてしまい、仮想通貨が紛失してしまった」

このようなケースは当然考えられます。ここでは、仮想通貨を紛失してしまった際の対応策をまとめて解説します。いくつかのケースでは取り戻せる可能性があります。

取引所へ誤送信してしまった

いわゆる中央型取引所(CEX:Centralized Exchange)に誤送信した場合は、仮想通貨が取り戻せる可能性があります。すぐに取引所のサポート窓口に連絡してください。

送信日時、金額、誤送信先アドレス、使用チェーンなどの詳細情報を提供します。信頼できる取引所であれば、取引キャンセルや資金を返金する手続きを進めてもらえます。

たとえば、世界最大の中央型取引所「Binance」は使用チェーンを間違った入金に対応しており、ユーザー手続きで元のウォレットに返金してくれます。

参照:Binance「誤入金に関するよくあるご質問」

怪しいサイトへ接続してしまった

出典:Revoke.Cash

怪しいサイトへウォレットを接続してしまうと、スマートコントラクトを用いた不正送金が行われることがあります。資金がプライベートウォレットに送金されてしまった場合は取り戻す手立てがありません。取引所ウォレットに送金されたことが判明した場合は、警察や弁護士を通して取引所の法的機関窓口へ相談します。

リボーク※をしてウォレット承認を取り消すことも大切です。リボークが早ければ不正送金を防げる可能性があります。また、ウォレット情報も犯行グループによってリスティングされる可能性があるので、新しいウォレットに移行することをおすすめします。

※ リボークは仮想通貨の送付承認を取り消すことです。専門的なプロセスとなりますので、不明点などはクリプトレスキューセンターへお問合せください。

参照:Binance「政府法執行要請システム」

送信先アドレスを間違ってしまった

送信先アドレスを間違った場合、回収は非常に困難です。送信したアドレスが実在する取引所のものであれば、取引所サポート窓口に連絡してください。詳細情報を提供し、可能であれば返金を依頼します。送金先アドレスが存在しない場合、もしくは第三者のプライベートウォレットである場合は取り戻せる可能性はありません。

送金先チェーンを間違ってしまった

送金先のチェーンを間違えた場合、特定の条件下で資金を回収できる可能性があります。まず、送金先が取引所の場合はサポート窓口に連絡してください。入金が正当のものであれば、送金元へ戻される可能性があります。

出典:Metamask

プライベートウォレットの場合、ウォレットに表示されていないだけなのかもしれません。チェーンを追加することで着金している銘柄を表示できます。ただし、ウォレットがチェーン(ネットワーク)に対応している必要があります。

送金完了したが着金していない

取引所に送金したが、着金が確認できない場合は「送金先チェーンを間違ってしまった」のケースが考えられます。取引所のケースとプライベートウォレットのケースで手続きを進めてみましょう。

出典:Metamask

プライベートウォレットに送金が完了して着金が確認できない場合はトークンが表示されていないだけかもしれません。トークンのコントラクトアドレスを追加して表示させます。

出典:CMC

仮想通貨のコントラクトアドレスはコインマーケットキャップなどキュレーションサイトで入手できます。検索フォームへシンボル(BTC、ETHなど)を入力してサーチします。

「トークン表示の設定がわかりにくい」という方はクリプトレスキューセンターへご一報ください。速やかにサポートさせていただきます。

まとめ

仮想通貨の紛失原因はユーザーのミスだけでなく、取引所へのハッキング、詐欺などの犯罪行為などさまざまです。本記事では仮想通貨を紛失させないための予防策を紹介させていただきました。仮想通貨の送金や管理の際に参考にしていただければ幸いです。また、万が一紛失してしまった場合も慌てることなく、「仮想通貨を紛失してしまったら?」の対応策を進めてください。紛失ではなく、ウォレットに表示されていないだけなのかもしれません。

本記事でわかりにくい点、疑問点がございましたらクリプトレスキューセンターにご一報ください。みなさま個別の課題解決をサポートさせていただきます。

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